INDEXback宮廷舞踏会 -芙蓉- 第01章 第07話 後編next
1.2.3.4.

1. 「裡に眠れる 2.」


「まったく、とんでもない事を仕出かしてくれましたね」
 取締役室に二人を連れ込んで、そう前置きをしました。

 ――今晩は。芙蓉です。憤慨中です。
 何時もは静かな取締役室が、今日はピリピリとした空気。あまり心地良いものではありません。
 何時もは怒る立場のカトラスが、何時もは怒られる立場の私に、きつく怒られているこの様も滑稽です。
 椅子に座り、暗い表情で項垂れるカトラス。暴れるので、椅子にぐるぐると縛り付けられ、それでも尚そっぽを向いて知らん顔の不良領主キール。ハラハラと成り行きを見守るファングと、何時もと変わらない調子のディ。そして、中央に私。
 満たされず、欠けたままの月が私達を見下ろし、開け放たれた窓から冷気が吹き込みます。風が私の頬をかすめ、長い髪を少しだけ撫でて通り過ぎました。

「――カトラス、貴方なら、あの場をどう治めるべきか判った筈です。……普段の冷静な貴方ならばね」
「おい、待てよ」
 ファングが後ろから私の左肩を掴みました。
 カトラスは悪くない。
 ――そう、言いたいのでしょう。気持ちは解ります。しかし、
「黙りなさい、ファング」
 鋭い視線で睨み、言葉を一つ。
 気迫負けしたのか、ファングは大人しく手を引きました。少し、圧倒された様な表情(かお)をして。
「カトラス。あの場で貴方が成すべき事は、取締役の名代として、あの場を速やかに収束させる事です。私は貴方を信頼し、名代を任せました。その責務を果たさなかった事、それは貴方のミスです。……分かっていますね」
「――はい」
 低く、静かに彼は頷きました。
 もう頭もすっかり冷えているみたいです。状況もしっかり理解しているみたい。彼には、これ以上の言及は必要無いでしょう。
「――あえて追求はしません。そもそもの非は、こちらの方にあるようですしね」
 視線を、カトラスの隣に座る御方へと移しました。
 ふてぶてしくも、堂々と、椅子にくくりつけられているその姿は何とも情け無いと云うのに、それでも偉そうに、例の問題児はそっぽを向いて知らん顔しています。
 ……まったく、いい度胸です。
「聞いていらっしゃるのですか? キール様」
「あ?」
「聞いているのかと、訪ねているんです」
「……」
 いい根性してますね。
「聞いているんですか、聞いていないんですか。子どもではないんですから、ハイかイイエ位は答えられるでしょう。それともその耳、使い物になっていないんですか?」
「イデデデデデッ!」
 耳をぎゅうっと引っ張ると、キール様のお顔が歪みました。
 なんだ。ちゃんと使えるじゃありませんか。
「何しやがるっ!」
 体と一緒に手も後ろ手にロープでグルグルと封じられてしまっているので、代わりに彼は顔を首ごと大きく振って、私の手から逃れました。私も無理矢理つかむ様な真似はしませんでした。
「テメェ、さっきから偉っそうに、何なんだよ!」
 偉いんですよ。
「自己紹介が未だでしたね。――東方王宮総取締役の芙蓉と申します。以後、お見知り置きを」
 本来ならば、取締役は先代との交代式でお披露目をされます。しかし、数ヶ月前に行った交代式では、先代取締役・ゼロス様を考慮し、領主様方をお招きせず式を執り行ったので、私の顔はあまり知られていないんです。キール様が私を御存知無いのも無理はありません。
「……取締役? テメェが?」
 怪訝そうに、ジロジロと私を見ます。
 失礼な人ですね。
「王宮の取締役っつったら、王に代わって宮の一切を独断で取り仕切る役職だぞ?」
 独断だぞ、独断。
 念押しせずとも知っていますよ。実際にやっているんですから。
 王の意志を通すのが優先ですが、時と場合によっては――どちらかと言うと、この場合の方が圧倒的に多いです――独自の裁量で判断を下す事が出来るのが総取締役です。犀利な判断、指揮能力が必要とされ、時には知略も要求されます。
「あるいは、戦いの為の軍の将軍(指揮官)よりも難しい」
 と、云われるのが王宮総取締役。
 その為、補佐官の中でも最高位に位置付けられ、扱いも王族並みとはいかずとも、それに近いものになります。
 普通は、有力貴族の中から有能な者を選んで任命するのが慣例。貴族なら、王族に近い処で物事を判断するので、王の望む王宮が造れるからです。しかし、能力が確かならば貴族で無くとも就任する事は可能です。その場合に必要なのは王の指名。直属の補佐官ですから、直属の上司である王が指名する必要があります。他が何と言おうと、王の決定は覆せません(よほど取締役として問題があれば別ですが)。
 私も、東方王マクラレーン様の指名を受けて、東方王宮の総取締役となりました。ですから間違いなく、私が取締役です。
「――けっ。東方王宮も堕ちたモンだぜ」
「何だと?」
 吐き捨てた言葉が、カトラスの怒りを刺激したようです。椅子から立ち上がり、キール様に詰め寄りました。カトラスの悪い癖ですね。気、短いです。
「何が逸材揃いだ! こんな小娘に顎で使われてよ!」
「お前……ッ!」
 とうとう、キール様の胸倉をつかむカトラス。
「――案外、テメェも思っているんじゃねぇのか? こんな小娘が取締役をやるよりも、自分がやった方がイイってよ! あぁ? 室長さんよぉ!」
 ……。
「……ッ!」
 胸倉を引き寄せ、顔を近付け威嚇する一方で、その顔には狼狽が明確に現われています。カトラスは腹芸も未熟ですね。ああいう時は、何を思っていても悟らせないようにしなければ。
 しかし、困ったものです。少しは冷えたかと思っていたのですが、益々ヒートアップするばかり。緊張の糸が益々張り詰めます。
 さて、どうしたものか……。
「――キール様、パーティー会場では別の領主様と少しお話をなされたそうですね」
「……それがどうした」
 声の調子が少し変わりました。
「一体、どのようなお話しを? もしや、先代様――貴方様のお父様の事では……」
 ありませんか? 
 と、続けようとして、その声は次の言葉に掻き消されてしまいました。
「テメェに何が解る!!」
 それは悲鳴にも近い、とても大きな声で叫んで、彼は、大きく肩を上下させました。あれだけ大きな声を出せば、息継ぎも必要でしょう。
 傍に居たカトラスはその大声に圧倒され、数歩後ずさりします。私の後方ではファングが言葉を失い、ディに至っては少し震えているようでした。
 言葉は、獣の咆哮に似ていた気がします。
「親父の……アイツのやっていた事のせいで、オレまで罪人扱いだ! 貴族の面子だ、領主の誇りだと、周りの連中はテメェのご都合ばっかりじゃねぇか! どいつもこいつも偉そうなコトほざきやがって、中身はアイツと大して変わりねぇ! 何もかも……ッ、何が、アイツと違うってんだ!? テメェの腹満たすだけしか考えてねぇ、タヌキどもがッ!!」
 ひとしきり叫んで、また息継ぎ。
 それから小さく、
「ちくしょう……」
 と呟いて、深く、うつむいてしまいました。――泣いている様に、見えました。きっと、私の目の錯覚でしょうけど、その時は確かにそう見えました。
 室内には、暫しの沈黙。
 誰も口を開こうとはしません。
 あれ程、頭に血を上らせていたカトラスも、今は大人しいです。憐れむ様な目で、キール様を見下ろしていました。
 そこに、一つの溜め息。


「とんだ糞餓鬼だな、お前は」


 務めて低いその声が、皆の注意を引きました。
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2. 「裡に眠りし 3.」


「まったく……親父だ、何だと、他人の所為にして、随分とお気楽ですね」

 皆の視線が私に向けられました。
 一瞬だけ、急に変わった声の調子。口調。注目したくなるのも当然ですが、見世物ではないのであまりジロジロ見ないで下さい。
「……でしたら何故、貴方はそのお父様を止めなかったんですか? ん?」
「――!」
 鼻息が聴こえる程、キールの顔に私の顔を近付けます。鼻面を合わせ、私は更に彼に詰め寄りました。
「貴方は、知っていたんでしょう? お父様のやっている事を。――だったらどうして、貴方はお父様ををお止めしなかったんですか? ……領主は世襲制。お父様の地位は、いずれ貴方が継ぐことになる。知らないなんてこと、ありませんよね? いつの日か貴方が跡を継いだ時、こうなる事くらい、簡単に予想がついたでしょう? なのにどうして止めなかったんですか?」
 キール様はあからさまに私から視線を外しました。
 正視できない程、痛いトコを突いているみたいです。
 私は更に攻め立てました。
「――面倒だったんでしょう。止めるのが。何だかんだと、自分で理由くっつけて。で、放っていたんでしょう?」
 返答は無い。この場合、沈黙は同意と受け止めるべきですね。
「だったら、今のこの状況は貴方が自分で望んだ結果です。何もしなかった貴方自身が負うべき業です。――他人を責める権利も理由も」
 すぅっ、と視線を細め、
「最初から、貴方には何一つ無いんですよ」
 背後でカトラスとファングが青くなるのが分かりました。ディはのほほんとしたいつもの顔に戻っています。ま、彼にとってみれば私の豹変なんてどうってことないでしょうからね。それよりもよっぽど、キール様の荒い声の方が怖いでしょうから。
「貴方みたいな矮小な人間に比べれば、タヌキジジィどもの方がよっぽど利口ですよ? ――聞えますか? あの声」
 少し間を空けて、パーティー会場から洩れ聞える音楽や笑い声を聞かせます。
「ああやって彼らは闘っているんですよ。政治という戦場でね。戦争で戦うのとは勝手(ワケ)が違います。ただ戦うだけの戦場より、彼らの方がよっぽど辛い戦場に立ってる事が、どうして貴方には解からないんですか? 自分の腹を満たすため? ――上等じゃありませんか。お腹が空けば食べ物を捜すでしょう? 喉が渇けば水を探すでしょう。そういう当たり前の事をを、彼らはやっているんです。それをどうして貴方が責めるんです? ――貴方なんて、、彼らの足元にも及びません」
 顔を更に近付けて、彼の右の耳元で、囁くように断言しました。
「戦場に立つことにビクついてる餓鬼が、偉そうにほざくな」
「…………」
 顎を引いてキール様の表情を見ると、固く引き攣っていました。
 良い顔です。結構、堪えたみたいですね。
 思い通りの反応が得られて、つい、口許が弛みます。それが嫌な笑みに見えたのでしょう。キール様の頬が更に引き攣りました。
「――カトラス。ここを頼みます」
 キール様の傍を離れ、同じくフリーズしているカトラスの背中を軽く叩きました。
「え? ――あ……、芙蓉様は……」
「私はこれからマスターに御報告に上がります」
 マクラレーン様の事です。きっとこの騒ぎに、とっくに気付いていらっしゃる筈。ならば一刻も早く御報告を申し上げなければなりません。騒動の原因も分かりましたし、一応収まりもしましたしね。
「キール様にはこの部屋を提供しますよ。頭が冷えたら会場にお戻り下さい」
「…………」
 返答はありませんでした。
「ディ、貴方は部屋に行きなさい」
 こくり、と素直に頷くディ。
「それから、ファング」
「ぉお?」
「会場に戻りなさい。警備の仕事、未だ残っているでしょう」
「………おお」
 マクラレーン様も未だ会場にいらっしゃるでしょうから、私とファングは一緒に部屋を出ました。それにディが続き、室内には二人が残ります。

 二人がその後どんな会話をしたかは知りません。カトラスの話しでは、「随分前向きな話」をしたとか。内容が分かるようで分からない返答ですね。ただ、吹っ切れはしたと思います。
 会場に戻って来た二人の表情は、ほんの少しだけ、笑顔、でしたから。
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3. 「領主総会 十日目」


 その後は大きな騒動は無く、とても穏やかでした。
 領主様方がお帰りになられる八日目、御指名を受けて数人の領主様方とお会いし、言葉を交わしました。滞在中の侍女侍従達の態度を褒める方も居れば、アレルギー対策にお礼を言う方も。中には、キール様の事を持ち出す方もいらっしゃいました。
「生まれ変わったとはよく言ったものだ。彼はまさにそうだと言えるだろう。彼をそうさせた君の手腕に、ひいては君自身を支持しよう」
 ――と。
 九日目は、八日目よりも圧倒的に、それを理由にして私に面会する領主様が多く、ちょっと忙しかったです。

 皆が口を揃えて、キール様が変わったと仰られます。
 マスターを前に、更には皆さんの目の前で、パーティー会場での無礼を謝り、更には喧嘩?の原因となった領主様に、
「未熟さをお許し下さい」
 平身低頭、平謝りだったとか。
 ……ここまで人格が豹変すると、何だか気持ち悪いですね。むしろ怖いです。
 しかし、そう文句が言える立場でもありません。
 あれ程の騒ぎであったにも関わらず、私が引いてはマスターが糾弾されずに済んだのは、キール様人格矯正という結果オーライ的な事があったからに過ぎません。もし、キール様に何の変化も無く、領主様方が騒ぎで気分を害されたままだったならば、私は領主様誰一人としてお会いする事はなかったでしょう。会場に残って、領主様のお相手をしてくれたスコット達にも感謝です。彼らも本当に良く働いてくれました。

「芙蓉」
 マクラレーン様に呼ばれ、
「あ、はい」
 私は外に出ました。
 奇麗な青空です。程好く雲がコントラストを加え、空の青さを一層引き立てています。風は爽快。羽ばたく鳥の羽音が聞える位、自然に溢れた景色です。
 外城門前には一台の馬車が止まっています。これから領地へと帰られる領主様の馬車です。決して豪華ではありません。質素で簡素。豪奢な装飾が無いので、総重量も軽めなそれは、骨組みなど、実用性を考えて作られています。職人技ですね。
「キール」
 マクラレーン様が、馬車の持ち主の名を呼びました。
「マスター……。――その……何と申し上げれば良いか……」
「いや、いい。――もう、別れとは本当に惜しい話だ。また、何時でも来ると良い。皆で歓迎しよう。是非とも領地の話を聞かせてくれ」
「マスター……」
 両手を広げて快くハグするマクラレーン様に、少し戸惑った様子でキール様が応えました。
 胸中複雑でしょうね。長年意志の疎通が出来なかった父と息子が、親子愛に気付いて互いを再確認し合う図、と云った処でしょうか。……例えがちょっと解り辛いかな? まあ、いいか。
「芙蓉」
 マクラレーン様から離れ、キール様が私に向き直りました。
「……感謝してる。有難う」
「素直にそんな事言われると気持ち悪いですね」
「……。テメェは可愛げが無いな」
「今は可愛いですよ。これでも、結構」
 後ろに控えているカトラスが複雑そうな顔をします。要らぬ事を思い出しているんでしょう。そんな記憶は早く忘れ去ってしまうのが一番ですよ。

「……テメェに言われて、ずっと考えていた。オレは何がやりたかったのか……」
 静かに、キール様が呟きます。
「――答えは?」
 聞くと、彼は首を横に振りました。
 未だ、見つかっていないんですね。
「だったら、早く領主など辞めてしまう事です。迷いのある領主など、領民のいい迷惑ですからね」
「手厳し過ぎねぇか?」
「今更、遠慮は無用でしょう」
「チッ……。やっぱり可愛くねぇ」
 余計なお世話です。
「――答えが見つからない時は、答え探しを止めれば良い。答えなど、あって無いようなものなのだから。答えではなく、今、目の前にある成すべき事を成し遂げなさい」
「マスター……」
 そのお言葉に、私はちょっと感動しました。
 そうですね。人生はどちらかと言うと国語です。数学みたいに、確固たる答えはありませんから、自分の考えを遣り通すしかありません。答えが解らなければ解らないで、そのまま進む事も出来ます。
 世界がどのような理屈で成り立っていても、私達はそれを知らずとも生きていけるのですから。
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4. 「安くはありませんから 」


「世話になったな」
 見送りの為に集まった一同にそう述べて、彼は馬車に乗って去って行きました。
 私達はしばしその背中を見詰めていましたが、やがて各々、それぞれの場所へと散り始めます。一人二人と減り、残るは私とマスター、カトラス、ディ、それから数人の調印議員の方々です。
 人数が減ったのを確認した私は、
「――マスター」
 徐にマクラレーン様に話し掛けました。
「ん?」
 ご機嫌良さそうな声音ですね。……実際、機嫌良いのでしょう。不良領主が優良領主に変貌したんですから。
「ハメましたね。私を」
「何の話かね?」
 とぼける声が浮ついています。よっぽど嬉しいのかな。
「キール様のアレを矯正させる為、ワザと総会に召集されましたね」
 キール様は当初、就任したばかりだから、領内の自治を早急に回復させなければならない、と云う理由で、今回の総会の出席は見合わされていました。私もそのつもりで用意していましたし。
 ところが、マクラレーン様の御指示で急遽参加となったんです。
 問題のあると評判の領主が、何もせずにいてくれる筈が無い。
 マクラレーン様はそれを重々承知だったでしょう。――にも関わらず、何故、キール様を召集されたのか。
 何か考えがあっての事だと、推測出来ます。侍女頭のリーホワさんだって言ってました。「あの御方はあの御方なりに考えての事でしょう」って。
 ならばその考えとは何か。
「あの方は問題児ですが、その素質は中々のものです。捨てるにはさぞかし惜しかったでしょう」
 彼は、会ったばかりのカトラスの性格を、少し言葉を交わしただけで見抜いていました。これを素質と言わず、何と言うでしょう。あの状況では、ただの当てずっぽうとも考えられましたが、マクラレーン様の行動を鑑みると、これこそが彼の才能なのだとしか思えませんでした。
 せっかくの逸材。しかし、父親の事件の所為で彼を優遇する事は出来ない。しかも、当の本人はその事件の所為で他の領主とのイザコザが耐えない。これでは悪循環です。
「彼は元来、素行の悪い人間ではない。問題は彼の中の複雑な心境です。それさえ吹き飛べば問題は解決します」
「口で言うは易いが、なかなか難しい仕事だ。万人に出来るものではない」
 遠回しな褒め言葉ですね。誰にでも出来はしない――君にしか出来ない、と。だから大目に見ろ、と。
 流石、狸の親玉は手が込んでいますね。
「――まあ、いいでしょう。ただ……、私は知らぬ間に人に利用される事が嫌いです」
 くるりと反転し、門に背を向け、マスターに目配せしました。とても、鋭く。
「――この件は高くつきますよ。……覚悟しておかれて下さい」
 言い放って、城の中へと戻って行きました。
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